THE EXTRA FIGHT

〜写真で見るマレーシア〜



「おはよーございます」


「あ、岳くんオハヨー……」


「あれ? どうしたんすか? 寝れなかったんですか?」


「……君は寝れたの? 昨日の夜なんか聞こえなかった?」


「え? なんですか? なんかあったんですか?」
 

「……あっそ。じゃ、いい。」


 昨日は昼過ぎまで寝ていた朝のつもりだったがオレだったが、一転して完全な寝不足。
 岳くんはよく寝れたらしい。隣の性に開放的なアメリカ人の被害を受けたのはオレだけか……。しかしあの大音響の中でよく眠れたなー岳くん。いや、もしかしたら彼は目を覚ましていたのだが、壁に張り付いて隣の声を聞いているオレの姿を見て気付かなかったことにしてくれたのかもしれない。
 遅めの朝食に岳くんと一緒にナシゴレンを食す。アジアで特徴的なのは、豚肉や牛肉よりむしろマトン(羊の肉)が頻繁に使われていることである。羊ってあのムクムクの羊なのだろうか。ちょっと可哀相な感じがする。ちなみにマトンカレーを見て「岳くん、マントカレーってなんだろうね。」と言ったのは絶対にオレじゃないと思いたい

 食後岳くんと別れて、国立動物園へ向かう。
 自称動物園マニアのオレとしては、密林の国マレーシアの動物園はなんとしても行かなければならない。相変らず蒸発しそうになりながらバスに乗り、国立動物園へ。鬼のように暑い。鬼のようにというのは、だいたい摂氏120度くらいということだ。地獄の鬼ということで釜ゆで的なものをイメージしてもらえればと思う。
 だがこんな暑さの中でも現地の動物達は元気いっぱいなはずである。
 ずっとこの気候の中で育ってきた上に、この動物園は自然をそのまま切り取ったような造りなため、日本の動物園の動物と比べたらずっと野生に近いはずだ。
 ペットボトルに入れた水を頭からかぶりながら動物園に入る。そして動物達の生き生きと動き回る姿を期待して園内を歩き回る。

 が。

 こいつら、

 まったくやる気なし。

 客をナメてんのか? 象からラクダから猿からライオンまで、全員地べたにはりついて微動だにしない。完全にだらけまくっている。もっと客から金を取っているということを自覚した方がよいのではないだろうか?
 こっちだって裸になって水浴びしたいくらいくそ暑い中、頑張って歩き回っているのである。
 そしてそんな言葉にしようもない灼熱地獄の中、





←左の人、それは自殺ですか??







 この人を見た瞬間、思わず「オレが悪かったです」と謝ったオレの気持ちはあの暑さを経験した人ならわかってくれるだろう。経験した人がどこにいるんだって話だが。とりあえず、彼女の体は今発火直前だろうと思われる。パラサイトイブの実写版である。
 しばらく歩いていると、売店にさしかかる。お土産に色々なぬいぐるみが置いてあるのだが、これがなかなかかわいい。多分マレーシア独自で開発されたキャラクターなのであろう。どのぬいぐるみも親しみが持て、とてもよく出来ている。こんなかわいいキャラクターを作り出せるとは、マレーシアにもなかなかいいイラストレーターがいるもんだと感心させられる。せっかくなので写真を撮ってみた。












 決してくまの〇ーさん、キテ〇ちゃん、〇レヨンしんちゃん、ミッキー〇ウスではありません。

 見事な商魂。
 一応全動物の寝姿を見て、動物園を後にする。次に目指すのはペトロナス・ツインタワーである。ツインタワーはクアラルンプールの中心地にそびており、中には多くの企業やショッピングセンターが入っているクアラルンプール一の観光地である。動物園からツインタワーへの直通バスは無いため、タワーが程よく見えてきたところで降り、そこから歩く。大体経験からしてあの大きさで見えていれば10分やそこら歩けば着くだろう。
 そして歩くこと1時間。またもミイラ寸前になりながらやっとのことで到着。
 ツインタワーの高さを新宿伊勢丹くらいだろうと予測し、見た感じで距離を測っていた私はアホでした。事前にこれが世界一高いビルだということを知っていればこんなミイラになることはなかったでしょう。
 ちなみにツインタワーの中の日本人の多さにはたまげた。やっぱり発展しているところにはたくさんいるようだ。彼らを見て、そういえば日本人って金持ちだったんだということに気付く。しかし、タクシーや専用バスに乗って帰って行く彼らを尻目に宿までまた1時間かけて歩いて帰る自分に、「オレって本当に日本人なんだろうか?」と問い掛ける今日この頃であった。
 もうかく汗はない。








世界一高かったビル、ペトロナスツインタワー。











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