遠山の金さん1
お白州に町娘のお加代と大黒屋、その一味が座っている。
「北町お奉行、遠山左右衛門丞さま、ご出座〜!」
奥から長い袴を引きずって金さん登場。
金さん:「さて大黒屋。その方調べによると、一味の者と結託し番頭の彦兵衛を殺害、更にその娘お加代にまで手をかけんとしたとあるが、左様相違ないか?」
大黒屋:「おそれながらお奉行様。彦兵衛はあの晩自ら川に飛び込んで果てたのでございます。それを私が殺害したなどと・・・。私共は長らく将軍様のお膝元で真っ当な商いをさせていただいております身。なぜこのような所に座らされているのか見当もつきません。そうそうにお解き放ち下さいませ。」
金さん:「ほほう。では彦兵衛は自害したと申すわけだな?」
大黒屋:「左様でございます。」
お加代:「お奉行さま!」
金さん:「何じゃ?申してみよ。」
お加代:「お奉行さま、父は・・・父は大黒屋の抜け荷の現場を偶然にも目撃してしまった為に、手の者に殺害されたのでございます!」
大黒屋:「黙れ小娘があっ!お奉行様、彦兵衛はさんざんうちで目をかけてやったにも関わらずロクな働きをしなかった男でございます。お加代、そんなに言うのなら証拠を出してもらおうじゃないか。」
お加代:「証拠・・・」
大黒屋:「証拠もないのに出鱈目言うんじゃねえよ!お奉行様、これ以上お調べいただいても私共には全く身に覚えのないこと。そうそうに解き放ち下さいませ!」
お加代:「そうだ!金さんなら!あの晩大黒屋に殺されそうになっていた私を救ってくれた、遊び人の金さんならきっと証言してくれるはずです!」
大黒屋:「なにを言ってやがるんだ。そんなに言うならその金さんとやらを連れてきてもらおうじゃねえか。」
一味の者:「そうだそうだ。早く連れてこいよ!金さーん!おーい、金さん出て来いよ〜!」
口々に金さんを呼ぶ大黒屋とその一味。金さんそれを見て袖口に右手をしまい、一歩前へ出る。すると、大黒屋が懐から拳銃を取り出す。
大黒屋:「確かにあの晩うちは盗人に入られた。そいつが金さんだな?許しちゃおけねえ。あの時は見事に逃げられたが、今日現れたらこの南蛮渡来の拳銃で一発でしとめてやる。どんな剣術の使い手だろうがこれにかかればイチコロよ。ヒャッハッハ!」
金さん:「・・・(固まっている)」
大黒屋:「おい!お加代!金さんはどこだ!いねーのか?」
金さん:「・・・」
お加代:「・・・」
金さん:「お加代」
お加代:「はい。」
金さん:「金さんとやらはどこだ?」
お加代:「そ、そんな・・・」
金さん:「では者ども!お加代を偽証罪でひっ捕らえよ!」
役人に連行されて行くお加代。
金さん:「これにて一件落着〜!」襖の奥に下がって行く金さん。
お加代:「お奉行さま〜〜(フェイドアウト)」
終
遠山の金さん2
お白州に町娘のお加代と大黒屋、その一味が座っている。
「北町お奉行、遠山左右衛門丞さま、ご出座〜!」
奥から長い袴を引きずって金さん登場。
金さん:「さて大黒屋。その方調べによると、一味の者と結託し番頭の彦兵衛を殺害、更にその娘お加代にまで手をかけんとしたとあるが、左様相違ないか?」
大黒屋:「おそれながらお奉行様。彦兵衛はあの晩自ら川に飛び込んで果てたのでございます。それを私が殺害したなどと・・・。私共は長らく将軍様のお膝元で真っ当な商いをさせていただいております身。なぜこのような所に座らされているのか見当もつきません。そうそうにお解き放ち下さいませ。」
金さん:「ほほう。では彦兵衛は自害したと申すわけだな?」
大黒屋:「左様でございます。」
お加代:「お奉行さま!」
金さん:「何じゃ?申してみよ。」
お加代:「お奉行さま、父は・・・父は大黒屋の抜け荷の現場を偶然にも目撃してしまった為に、手の者に殺害されたのでございます!」
大黒屋:「黙れ小娘があっ!お奉行様、彦兵衛はさんざんうちで目をかけてやったにも関わらずロクな働きをしなかった男でございます。お加代、そんなに言うのなら証拠を出してもらおうじゃないか。」
お加代:「証拠・・・」
大黒屋:「証拠もないのに出鱈目言うんじゃねえよ!お奉行様、これ以上お調べいただいても私共には全く身に覚えのないこと。そうそうに解き放ち下さいませ!」
お加代:「そうだ!金さんなら!あの晩大黒屋に殺されそうになっていた私を救ってくれた、遊び人の金さんならきっと証言してくれるはずです!」
大黒屋:「なにを言ってやがるんだ。そんなに言うならその金さんとやらを連れてきてもらおうじゃねえか。」
一味の者:「そうだそうだ。早く連れてこいよ!金さーん!おーい、金さん出て来いよ〜!」
口々に金さんを呼ぶ大黒屋とその一味。
金さん:「フッ。やかましいなあ、こわっぱども。」
大黒屋・一味の者:「?」
金さん:「大黒屋!てめえらの探している金さんはなぁ、とうの昔っからここにいるんだよ!」
金さん袖口に右手をしまい、一歩前へ出る。
金さん:「あの日あの時あの場所で、見事に咲いたお目付け桜夜桜を、まさかうぬら、見忘れたとは」
金さんはだける。桜吹雪登場。
金さん:「言わせねーぞ!」
お加代:「金さん!!」
大黒屋:「・・・」
金さん得意そうな顔。
大黒屋:「・・・」
落ち着いている大黒屋。
金さん:「・・・」
大黒屋:「それが?」
金さん:「え?」
大黒屋:「そんなもの知りませんが。」
金さん:「な、なに言ってやがるんでぇ!あの日オレが確かにお前らの悪行を・・・」
大黒屋:「証言だけですか?」
金さん:「な、なに?」
大黒屋:「証拠は?」
金さん:「え?」
大黒屋:「まさか見ただけって言うんじゃないでしょうね?証言者には立証責任というものがあります。証拠を示してください。」
金さん:「・・・そ、そんな難しいこと言われても・・・」
大黒屋:「早く証拠を見せてください!私が抜け荷をしていたという証拠を!無いんですか?」
金さん:「・・・」
大黒屋:「・・・」
急にかしこまる金さん。
金さん:「これにて一件落着〜!」襖の奥に下がって行く金さん。
お加代:「お奉行さま〜〜(フェイドアウト)」
終
遠山の金さん3
お白州に町娘のお加代と大黒屋、その一味が座っている。
「北町お奉行、遠山左右衛門丞さま、ご出座〜!」
奥から長い袴を引きずって金さん登場。
お加代・大黒屋:「ああっ!金さん!!」
金さん:「早いよ!!!」
終
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