女教師と生徒(ラブシーン)



   人 物

 志村禅吾(32)公務員
 秋堀朝子(25)アルバイト
 男


〇教室 (夜)
   狭い教室の中央に机が3つ並べられ、
   そのうちの一つに学生服姿の志村禅吾
   (32)が座っている。
   黒板の前で、教科書を持って講義をして
   いる秋堀朝子(25)。
朝子「電気と磁気の関係を考えるときに便利
 なのがフレミングの法則ね。左手をこんな形
 に曲げて、人差し指が磁場、中指が電流、親
 指が電流の受ける力の向きをそれぞれ表し
 ているの」
   朝子が左手を曲げて一生懸命説明して
   いる。両肘をついてボーっと聞いている
   禅吾。
朝子「ちょっと、聞いてるの禅吾君?」
   禅吾、はっとして、
禅吾「え?は、はい。大丈夫です」
朝子「もう。なんで君一人だけ残されてるかわ
 かってるの?このままじゃ卒業できなくなる
 かもしれないんだよ!いい、ちゃんと集中し
 てね」
   朝子、再び教科書を見ながら、
朝子「フレミングはイギリスの電気学者で、二
 極真空管を発明した人なの。もっとも今では
 フレミングの法則を発明した人っていうことの
 方が有名になっているんだけどね」
   朝子をボーっと見ながら何回もため息を
   つく禅吾。
朝子「禅吾君!さっきからなにボーっとしてる
 の!先生は君がみんなと一緒に卒業できる
 ようにしてあげたくて頑張ってるんだからね!
 でもいくら先生が頑張ったって、禅吾君がや
 る気を出さなきゃ意味がないんだよ。わかっ
 てるの?」
禅吾「(寂しげに)先生、先生はそんなに僕を卒
 業させたいの?」
朝子「なに言ってるの?あたりまえじゃない!」
禅吾「そうじゃないよ。先生は、僕にこの学校
 からいなくなって欲しいの?」
朝子「え・・・?」
禅吾「僕は・・僕は朝子先生と離れ離れになる
 くらいなら、ずっと卒業できなくてもいい!」
朝子「ちょ、ちょっと何言ってるの禅吾君。今
 日のあなた、なにかヘンよ」
禅吾「先生、わかってるんだろう?何でいつも
 僕が一人だけ残って補習を受けているか」
朝子「そ、それは君のテストの出来が悪いか
 らじゃ・・・」
禅吾「(興奮して)違う!僕は先生との二人っ
 きりの補習を受けるためにわざと悪い点を
 とったんだ。なんでだと思う?僕は・・僕はず
 っと前から先生のことが・・」
朝子「だめよ禅吾君!」
   禅吾、立ち上がり朝子に迫りながら、
禅吾「朝子先生!俺、先生を初めて見たとき
 から、ずっと・・ずっと先生のことが好きだっ
 たんだ!」
   朝子、うつむいて黙っている。禅吾、両手
   で朝子の肩を掴み、
禅吾「なんで黙ってるんだよ!先生、なんとか
 言ってくれよ!・・・先生、俺もう我慢できない!」
   朝子に強引に口づけしようとする禅吾。
朝子「やめて!やめて禅吾君!」
   禅吾、朝子の頭を掴んで無理やり唇を重
   ねる。少しの間うめきながら抵抗していた
   朝子だが、やがて体の力を抜き禅吾に身
   を任せる。二人は抱き合ったまま教室後
   部にあるベッドの方へ歩いて行き、その
   まま倒れこむ。
禅吾「先生・・好きだよ・・先生・・」
朝子「・・禅吾・・くん・・」

〇雑居ビル・全景 (夜)

〇同・受付 (夜)
   受付の男が雑誌を読んでいると、スーツ
   姿の禅吾がすっきりした顔で歩いてくる。
男「おつかれさまでした!サービスはどうでし
 た?」
禅吾「なかなか楽しめましたよ」
男「他にも女医と患者コース、痴漢コースなど
 色々ご用意してますんで、また是非いらして
 くださいね!」   
                          終