パレスチナ夜 3

〜ジェニン〜





丘の上からジェニンキャンプ跡地を望む。
 ジェニン=ナブルスより更に北にある小さな町。




タクシーの運転手は言った。まだ1年も経っていない、2002年4月、わずか1キロメートル四方のこのジェニンキャンプを、400台の戦車と6機のアパッチヘリが囲んだ。
そしてイスラエル軍は、戦車、ブルドーザー、上空からの爆撃で、ひたすら家を破壊し、パレスチナ人を殺しまくっていった。

犠牲者は600人。女子供容赦なし。掲げられた白旗を標的に射撃。家にいる人間は破壊された家の下敷きになって死ぬか、壁ごしにアパッチの機銃掃射を受けて死ぬか、ふみ込んだイスラエル兵に撃たれて死ぬか、まあとりあえず死んだという。
怪我人を運ぶ救急車すら軍に止められ破壊された。

ジェニンの虐殺については世界的に有名になっているが、犠牲者の数はイスラエル側とパレスチナ側の発表が大きく食い違い、また虐殺自体もなかったという意見もあるという。勿論、イスラエル側の発表では虐殺は無かった(パレスチナ側の戦闘員が50人くらい死んだだけ)ということになっている。

虐殺のでっちあげというのはたしかにあると思う。もう古い話かもしれないが、20万人しか住んでなかった都市で30万人虐殺されたなどと保育園以下の寝言をほざいてる共産国家も今だにある。

しかし50年前と今では時代が違う。情報量が違う。実際にその直後にその場にいたジャーナリストや人権団体も虐殺があったということははっきりと証言し、それはパレスチナ側の戦意高揚作戦でも情報操作でもない。そんなことをしても日本と違ってイスラエルは謝罪外交もしないし金もくれないし意味がない。

とりあえずイスラエル側としては、そんな報道の情報は嘘だと証明するためには、国連にでも調査してもらい潔白を立証するのが一番だろう。
と思ったらイスラエルさん、事件直後の国連調査団のジェニン入りの受け入れを拒否したということだ。あは。


殺人国家イスラエル。


虐げられる民の辛さをよく知っているはずなんだけど。ユダヤ人。
いや、むしろ自分達がやられたことを仕返しにパレスチナ人にやっているのかい?
ホロコーストの数百万の犠牲に比べればパレスチナ人の数千人くらいたいしたことないと思っているのかな?
ちなみに我らが空爆大好きブッシュ大統領は、殺人国家元首・シャロン首相を「平和の人」と呼んでいるそうな。オレがブッシュ大統領の息子だったら、絶対首を締める。
パレスチナ人は、石を投げるしか戦う手段がない。もしくは家族が友人が自分が殺されるのに沈黙しているしかない。
いや、実はそうでもない。もう一つある。普通の市民が、イスラエルに対抗する手段があと一つあるのだ。
爆弾の詰まったスーツケースを持って、体に爆弾を巻いて、ユダヤ人もろとも爆発。
自爆テロだ。
時には高校生が、時には結婚を間近に控えた女性が、にっくきユダヤ人と共に木っ端微塵になる。
パレスチナ人・・・かっこいい・・・。
時として、といえないくらい毎回ユダヤ人の犠牲者には軍とは関係のない一般市民が混じっているが、個人的にはそれも仕方ないと思えるくらい(あくまで作者の意見です)パレスチナ人は毎日ユダヤ人に殺されている。もしもオレがパレスチナ人で、親がイスラエル兵に殺されたらオレも喜んで爆弾巻いてユダヤ人バスに突撃するだろう。
とにかくパレスチナ人は、日常的に普通にユダヤ人に殺されているのだ。
例えば店にお菓子を買いに行くだけで。
その報復に彼らは自爆テロを起こし、そしてテロリストの掃討を理由にイスラエル軍はパレスチナを破壊し殺す。
鶏が先か卵が先か?

現在パレスチナ国家の樹立を目指すロードマップなるものがアメリカの主導で進められている(アメリカがイスラエルに「パレスチナ人の独立を認めてあげなさい!仲良くしなさい!」と言っている。ブッシュの言うこととは思えん)が、戦闘は以前にも増して激化している。
しかしガザ北部からイスラエル軍は撤退し、徐々に和平に向かい始めてもいるようだ。

このままロードマップが完成し、今日も民間人が撃たれているであろうナブルス、パレスチナ自治区に早く朝が訪れることを祈ります。







←ジェニンでの犠牲者のポスター。
今もポスターが増え続けているナブルスと違い、こちらは多少年月が経って色褪せているのがせめてもの救いである。

しかしこんな子供を・・・











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