THE FIGHT ROUND3

〜不浄の左手(ハードボイルドバージョン)〜



 窓から差し込む朝日の眩しさに揺り起こされると、俺の体にはいくつかの引っかき傷がついていた。フッ。どうやらメアリーやサンドラ、たくさんの女達が俺の体を取り合ったようだ。都会の孤独の臭いが染み付いた俺の汚れた体も、彼女達にはたまらないらしい。

 ブラインドの隙間から街の喧騒を見下ろす。

 今日もこの街は俺を待っている。
 そう急かすなよ。まだ目を覚ましたばかりじゃないか。
 フェンディのシガレットケースからコニャックディップの最高級シガリロである葉巻、アルカポネ・スウィートを取り出す。この甘い香りとまろやかな喫味は眠らない肉体になってしまった俺を瞬間的に日常に連れ戻してくれる。

 この部屋にお似合いなアルカポネ・スウィートをゆっくりとくゆらせていると、まるで西部開拓時代のギャングのボスになった気分になる。
 あながちそれも分相応といえなくもない。俺の犯した罪はたしかに法に触れるものではないが、少なくとも何十人もの女性の心を奪い去ってしまったという行為は罰せられるべきものかもしれない。
 疲れているのだろうか。普段は決して考えもしない過去の女達との情景が頭に浮かんでは消えて行く。
 俺にもまだそんな思い出とやらに浸っていたいという気持ちがあるらしいが、過去を振り返っている時間はない。20年もののグレンフィディックをグラスに注ぎ込み、頭の中から無理矢理くだらない思考を追い出す。
 まだサンドラ達の体温のぬくもりが残るベッドに腰掛けながらグラスを傾け・・・




文章的表現力の限界に達したためここで終了させて頂きます。












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