〜盲腸とロングラブレター1〜

ちょっと前に放映されていたドラマ、「ロングラブレター〜漂流教室〜」。
タイトルのとおり原作は楳図かずおのマンガ「漂流教室」なのだが、ストーリーは大幅に変更されている。
ドラマを見て久しぶりに原作を読みたくなった私は、押し入れの奥から小学館スーパービジュアルコミックス・漂流教室4,5巻を引っ張り出してきた。
以前芸人仲間の某T君の家から2冊だけかっぱらってきたものだ。
その中に、主人公が盲腸にかかるシーンがあった。
子供達だけの力で病気と戦う物語のクライマックス的シーンなのだが、これを読んでついこの間盲腸の手術を経験したばかりの私は思った。



こんな盲腸の手術はイヤだと。








ご存知の方が多いだろうが、この物語はある小学校がダイナマイトの爆発によって異世界に迷い込んでしまい、そこで主人公の高松翔を中心とした小学生達が、犯罪者と化した大人や敵対する小学生、未来の怪物などと戦いながら一生懸命生き抜いてもとの世界に戻ろうと奮闘するお話なのだ。
それではところどころ実際の漫画を見ながらストーリーを振り返ってみることにしよう。






さされる小学生「ギャーッ!!」




上の絵で、竹やりで敵の小学生を突き刺しているこの少年こそ、誰あろう主人公の高松翔である。
どんな状況でも正義の心を忘れず、リーダーシップを発揮し悪に立ち向かって行く彼。彼のおかげで命を救われた子供も多く、たくさんの子供達や同級生から信頼を得ている。
素直で澄んだ心を持つ翔には、読んでいてもとても好感が持てるのだ。
しかし、物語も佳境に差し掛かったある時、そんなたくましく頼れる彼が突然の腹痛に襲われるのであった。








翔「ウウウウ・・・!!」
咲子「ど、どうしたのっ!?」


翔を気遣うヒロインの川田咲子。
かつて経験したことが無いような激しい痛みを訴える翔。
なにか食べ物があたったのだろうか?
こんな環境の中で生きて行く精神的な疲れから体調を崩したのかもしれない。



咲子「盲腸かもしれないわっ!!」



素早い判断!!!

素早いっていうより、何も考えていないのでは?
もしくは咲子には多少医学の知識でもあるのか??まあこれは翔の状況を見て素早く的確な判断をしたというより、ページの都合である。
しかしこの判断は危険だ。
単純に風邪や食あたりを含めて、腹痛の原因なんて他にいくらでも考えられるのである。
しかも痛み出したのはほんの2、3分前。もっと様子を見てジックリ判断しなければならない。
落ち着け!落ち着くんだ小学生たち!!



















少年A「たぶん盲腸だっ!!ぼくの時とおんなじだっ!!」









少年B「手術をするしか・・・」









落ち着けというのに!





はやまるんじゃない!
ちょっと結論を急ぎすぎではないか?
はっきりいって現代医学をもってしても病気の原因を断定するのは結構難しいのだ。私はつい数ヶ月前に盲腸の手術を受けたのだが、初めて腹痛をおぼえてから手術を受けるまで実に丸四日もかかった。しかも往診のドクターに診てもらってもERで血液検査やCTスキャンを受けてもなかなか原因がハッキリしなかったのだ。
それも当然である。人間の体は想像もつかないくらい複雑に出来ているものだ。
ありとあらゆる病気の可能性からたった一つを正確に指摘することは経験を積んだ救急救命室の医師でも非常に難しいのである。
その辺の小学生がそう簡単に判断できるものではない。

そしてそんな私の思いが通じたのか、クラスメートの一方的な判断により
翔の手術が決定。


ま、たしかにそうしないと話は盛り上がらないと思うが・・・。
でも手術ったって、そんなの出来るやついないだろう!?
小学生しかいないんだぞ!!ここは!!











少女A
「医者の柳瀬くんを連れてきたわ!!」



え?医者?

医者の柳瀬くん?


医者がいるのか??


柳瀬くん・・・ランドセル背負ってるが実は医師国家試験を通った天才小学生なのか??
そうだとしたらなんと頼りになることか。
少年達が勝手に手術するとか言っているが、医者の免許を持った人間がいるというのなら話は別だ。
手術の中でも盲腸の手術というのは凄く簡単な部類にはいるらしい。
いわば手術の入門編のようなもの。
小学生ということで一抹の不安はあるものの、もし柳瀬くんが本当の医師だとしたら、翔は助かったと言えなくもない。

「柳瀬くん!手術を頼む!」

柳瀬くんに執刀を促すクラスメート達。
たしかにこの場面を救えるのは君しかいない。がんばれ!柳瀬くん!
頼むぞ!柳瀬くん!!











柳瀬くん「で、でもぼく、しゅ、手術なんて生まれてから一度もやったことがないっ!!」



???


柳瀬くん?


どういうこと??









少年A「でもきみは、医者のムスコだろ!!将来、医者になるっていってたじゃないか!!」












親が医者かよ!!!




医者のムスコ=ただの小学生

親の職業がなんだろうと関係ないだろう・・・。医者の子供だからって親の仕事場を見れるわけじゃあるまいし。
ただの小学生が手術など出来るわけがない。いや、もし仮に柳瀬くんがスーパー小学生で医師の免許を持っていたとしても、この状況である。小学校に手術用具などあるわけがない。消毒薬も痛み止めも麻酔もなにもかも無い。
おまけにまだ盲腸だとはっきり決まったわけでもないのである。
たいてい腹痛なんていうものはしばらくすれば治るものだ。盲腸だとしても慢性の盲腸などは腫れたり治ったりするためほおっておけば痛みがひいてくる。翔の腹痛はついさっき始まったばかりだ。このまま様子を見たほうがいい。なまじ柳瀬くんが手術など出来なくてよかった。
というか出来るわけないのだが。
さあ、もうちょっと静かに翔の様子を見ようではないか。素人が騒ぎ立て手術するなどと言っている場合ではない。
上の変な小学生にキツいこと言われたってかまやしない。そんなの無視だ。無視!手術のことなんか忘れろよな。柳瀬くん!















柳瀬くん「それじゃ、ぼくやってみる!!」






























柳瀬くん??


















何を言っているのだ?キミは??















やってみるって・・・


































ぷるぷるって。
(しかもカッターナイフ)






















こんな手術いやだ。









パート2へつづく